2112製作記録 #2|接着と床面処理

2112製作記録 #2|接着と床面処理

クラウドファンディングで応援いただいた「2112|効率系財布」の製作が進んでいます。
本日は 接着と床面処理 についてご紹介します。

接着は、外装用の革に薄く漉いた革を貼り合わせる工程です。
これにより札の滑りが良くなり、手にしたときの高級感も生まれます。

今回使用している革は、イタリアのブッテーロ。外装だけでなく、裏面にも同色のブッテーロを合わせ、全体の統一感と耐久性を高めています。


接着剤は水性で、両面塗布して乾燥後に貼り合わせるタイプを使用しています。薄塗りの場合は半乾きのタイミングで接着するとよく付きますが、完全乾燥だと付かないことがありました。

薄塗りにする理由は、接着剤の層が厚くなるとコバに影響して仕上がりが乱れるためです。影響を最小化するため、極薄で均一に塗っています。

塗布にはシリコンヘラを使います。端から乾燥が進むため半乾きのカスが生じやすく、これが製品に付着したまま接着すると革の表面に粒として現れ、外観を損ないます。作業中はヘラを定期的に拭き取り、特に薄い革ではより慎重に進めています。


次はトコ面の処理です。

トコ面というのは、床面とも呼ばれる革の裏側です。
この部分を処理する理由は、まず見た目の向上や高級感を出すため、そして手触りを良くするためです。

加えて、耐久性・耐摩耗性を高めたり、防汚・防染の効果を持たせたりすることができます。さらに、革くずの付着を防ぐ役割もあり、実用面でも大きな意味があります。

刷毛で均一に塗り、乾燥させます。

その後アイロンをかけしっかり定着させます。



OUGI Leathersでは、2種類のトコ面処理剤を使っています。

一度目はしっかりと被膜を作り、アイロンで定着させます。
そのうえで、保護効果を持ちながら光沢を抑えるトコ処理剤を重ねることで、手間をかけて丁寧に仕上げています。



そして、こちらはブッテーロのナチュラルの革表面にオイルを塗っている様子です。
ナチュラルカラーは無着色のため、手で触れるだけでも脂分を吸い、部分的に跡が残ります。
そのような跡を防ぐために、あらかじめオイルを塗布しています。

画像では縫った部分が濃い色に見えますが、時間の経過とともに次第に元の色に近い状態へ戻っていきます。

今回は、接着とトコ面処理の様子をご紹介しました。
次回は、続く工程についてお伝えしたいと思います。

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