
クッションカバー難しいご依頼でした。
2025年8月22日
使用した革はヴォーノオイルのブラック、糸もブラックで製作しました。
この製作したクッションカバーは苦労したので、少し書こうと思います。
立体的な形で、しかも中身は反発性のあるクッション。
どのサイズで革のカバーを仕立てればいいのか、最初は全く見当がつきませんでした。
革のカバーが大きすぎればブカブカに、小さすぎれば形が歪んでしまいます。
ただ今回はクッションなので、シートと腰の間に置くものですのである程度なじむ余地があります。
型紙を作ったとしても、どこまでの大きさを許容範囲とするか、その見極めが大切だと感じました。
分解して確かめる方法もありますが、一度バラしてしまうと元に戻せません。
分解前に「どういう手順で作るか」を完全にイメージできないと、製作に入るのは危険です。
正直「自分の仕事じゃない」「革製品でもジャンル違い」と断るのは簡単でした。
けれど考えもせずに断ってしまうのも、後々なにか残る気がして。
だからこそ受けてみようと決めました。
普段なら依頼を受けるときに大まかな流れが頭に浮かぶのですが、今回はそうはいかず…。
一点物なので量産のように微調整を重ねて型紙を作ることもできず、かなり悩まされました。
それでも過去の経験を引っ張り出したり、方法を一つずつイメージして試したりしながら、少しずつ進めました。
試行錯誤の末、ようやく完成。
出来上がったときはホッとしましたし、「ビフォーアフターの写真を撮っておけばよかったな」と後で気づきました。
オーダーメイドは、店に並んでいる既製品を売るのとは違います。
依頼ごとに形も仕様も違うから、そのたびに考えて悩んで、大変なことばかりです。
でもその先には、お客様が「好みの物を使える」という感動があると思います。
私は私のできることで、そのお役に立てればと考えています。